林田大庄屋旧三木家住宅

1.概要

三木家は、英賀城主 三木氏の出自と伝えられています。天正8年(1580)、羽柴(豊臣)秀吉による播磨侵攻により英賀城が落城した際、一族は各地に逃れました。その時の城主 三木通秋(天正11年没)の弟 定通が林田村に帰農し、江戸時代を通じて林田藩の大庄屋をつとめました。
周囲は土塀で囲まれ、南西には園池が広がっています。敷地内には主屋、長屋門、引き続き矩折れ(かねおれ)に長屋、土蔵(米蔵、内蔵、新蔵)の6棟の他、屋敷神、裏門等が残っています。また長屋西端には藩主を迎え入れるための御成門が建てられています。
主屋をはじめ6棟の建物は、平成2年(1990)兵庫県指定重要有形文化財に指定されました。また、古文書は5,068点、古絵図も10数点が残され、内6点が附指定(つけたりしてい:指定物件の価値を補完するもの)を受けています。

2.遺構由緒

三木家は、棟札や古文書等創建年代を明確に示すものは発見されなかったものの、土間の小屋束で元文2年(1737)と書かれた祈祷札が発見されました。また、古文書には、三木家は現敷地から300mほど北にあった聖岡(ひじりがおか)の山頂に在りましたが、元和3年(1617)林田藩主 建部政長が入封(与えられた領地に入ること)すると陣屋を築くため麓に降ろされました。その後、当家への牛馬の往来が激しく糞尿で陣屋門前を汚すため、3代定久(1603~1675)の代、寛永20年(1643)に現在地にうつされたことが記されています。
主屋解体時の調査で整形6間取りの平面構成や、茅葺屋根、低い軒先など古式の民家の姿が明らかになりました。
三木家の建築時期は江戸時代初期と推定され、民家遺構としてはかなり古いもので、大庄屋の建築として県下で推定できる最古の遺構です。また、この時代の大庄屋屋敷が残っているのは全国的にも極めてめずらしく、民家史上重要な遺構といえるでしょう。

3.規模・特徴

敷地面積 約4,178平方メートル

  • 主屋

    建築年代:17世紀
    桁行 約25m(約14間)  梁間 約13m(約7間)
    入母屋造 茅葺(棟・庇は本瓦葺)
    床面積 約370平方メートル(約112坪)

    建物に残る痕跡や古図によると、当初は草葺き屋根でしたが、18世紀前半には瓦葺きの下屋がつき、同後半には棟に瓦が葺かれ、煙出しも設けられるなど数度の改修が確認されました。土間の南側は居室部との境に上がり框(かまち)がつけられ、それより西が居室部です。土間の奥にはクド、女部屋があり、居室部との境には広敷を設けています。
    居室部は、南側に表台所(大庄屋の仕事をしていたスペース)、式台つきの玄関、表座敷の3室を配し、表座敷の南面から西面にかけては縁がめぐり、部屋境には床の間を備えています。主屋西側には上客用の風呂と雪隠(せっちん:トイレ)があり、主屋北西隅から北に離座敷・北湯殿(蒸し風呂)・新蔵・内蔵が廊下伝いに連なっています。

  • 長屋門・長屋

    建築年代:寛政8年(1796)
    桁行 延 約65m(延 約36間)  梁間 約 5m(約 3間)
    入母屋造 本瓦葺
    床面積 約 327平方メートル(約 99坪)

  • 米蔵

    建築年代:19世紀前期
    桁行 約 15m(約 8間) 梁間 約 5m(約 3間)
    大壁仕様 切妻造 本瓦葺
    床面積 約 73平方メートル(約 22坪)

  • 内蔵

    建築年代:19世紀前期
    桁行 約 10m(約 6間) 梁間 約 4m(約 2間)
    大壁仕様 切妻造 本瓦葺
    床面積 約 39平方メートル(約 12坪)

  • 新蔵

    建築年代:19世紀中期
    桁行 約 5m(約 3間) 梁間 約 4m(約 2間)
    大壁仕様 切妻造 本瓦葺
    床面積 約 19平方メートル(約 6坪)

4.保存修理工事

保存修理工事は、平成10年(1998)12月の長屋門解体修理から始まり、平成20年度に主屋ほか県指定の建物6棟全ての工事を終え、平成21年度の園庭整備で完了しました。
保存修理工事は、従来と同じ建物を新築するのではなく、文化財としての価値を有する建築当時の古材を丁寧に取り外し、棟、柱、瓦等はもとより細竹の1本に至るまで1品ごとに調査点検しました。そして、腐朽しているものはその部分だけを取り替えて組み上げるなど可能な限り建築当時の状態を残し、不足部材を補充しながら組み戻しました。

保存修理工事前の三木家長屋門

5.三木家観覧料

    個   人   20人以上の団体  
 一     般 310円  250円
高校生・大学生  210円  160円
小学生・中学生  100円   80円

6.公開日および公開時間

  • 公開日 金・土・日・月・祝 但し、12月28日~1月4日は休館
  • 公開時間 10:00~16:00 入館は15:30まで
  • 姫路にお住まいの方で65歳以上の方は、姫路市福祉カード・証明書等をご提示ください。減免(無料)扱いになります。
  • 姫路市内及び播磨圏域の小学生・中学生はどんぐりカードをご提示ください。減免(無料)扱いになります。
  • 老人福祉月間(9月1日~9月30日)の期間中に限り、西播磨レインボーカードをお持ちの方はご提示ください。減免(無料)扱いになります。
  • 身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳等をお持ちの方はご提示ください。手帳をお持ちのご本人様と介護者1名様までにつきましては、減免(無料)扱いになります。車いすも準備しておりますので受付にお申し出ください。
  • 障害者手帳アプリ(MIRAIRO-ID)に対応いたしました。アプリを起動の上、画面を係員にご提示下さい。

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